20180702

イカを切り分けた時のあの先端の最初のひとくち。

 

あそこだけ食べたい。

 

ソフトクリームの先っぽのところ。

 

あそこだけなめたい。

 

ビールも最初のひとくちが1番美味しい。

 

最初のひとくち。なんて魔性に満ちた魅力を持っているのだろう。

 

最初のひとくちだけ集めて、永遠に最初のひとくちを味わいたい。

 

僕がお金持ちなら最初のひとくちだけしか食べたくない。

 

けど、そう思った瞬間気づいてしまった。

 

なんでペットボトルの飲み物は入れ物いっぱいまで入っていないのか。

 

あれはすでに誰かが最初のひとくちを飲んでしまっているからなのだと。

 

ドーナツの穴が空いているのは、そこの最初のひとくちがすでに食べられているからなのだ。

 

悔しい。どんな味なのだろう、ドーナツの最初のひとくちは。きっと最高のひとくちなのだろう。なんせ、この世の全てのドーナツの最初のひとくちを逃したくないと、ドーナツは全てに穴が空いているほどなのだから。

 

レンコンに穴が空いているのも、最初のひとくちを誰かが既に味わった後だから。

 

ポッキーの先端でチョコレートが塗られていないところも、最初のひとくちを奪われた後だから。

 

悔しい。いったいどんな味なのだろう。

 

そう思うと、ビールの最初のひとくちも少し劣って感じられてしまった。

 

このビールの最初のひとくちはもしかしたら誰かが先に味わった後のふたくちめじゃないかと思って。